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敷金返還の民事訴訟と判例

1. 敷金の立会いの時に注意しておかなければならないポイントとは?

アパートやマンションを賃貸し、入居する時に必ずと言っていい程、支払わなければならないのが敷金です。この敷金をめぐって色々なトラブルに巻き込まれることが多々あります。そんなトラブルを回避するためにも、退去する際の立会い時に注意しておけなければならないポイントをいくつかおさえておきましょう。まず、立会いの前に契約書を一度よく確認してみてください。賃貸契約書には、退去際の物件明け渡し期日までに原状回復をしなくてはいけないという義務について記載があると思います。実は、この原状回復義務に対する貸している側と借りている側の認識の違いが、敷金返還トラブルになることが多くあるのです。退去時の立会いの際、入居時の家の中の状況をあなた自身がよく把握してれば良いのですが、なかなかそうもいかないのが現実ですよね。壁の破損やフローリングの日焼けなど、普通の生活を送っていても出来るような損耗などは賃貸人の負担となり、犬や猫などの壁の引っかき傷や食べ物・飲み物のシミなど、自己の責任で出来るような傷などは借りている側の負担になるなどの基礎的な知識を身に着けておきましょう。上記で原状回復義務の話をしたと思いますが、これは入居時の状態に100%戻さなくてはいけないという意味ではないので、これも立会いの際に頭に入れておくといいですね。退去する前に、いかに丁寧に掃除をするかによっても、大家さんや管理会社の担当者の判断は変わってきますから、立会う前の掃除も忘れずにしておいてください。


2. 敷金返還でもめたら国の機関に聞きにいく?

敷金を返還してもらう際におかしいなと思ったら、賃貸契約書をもう一度読み返してみたり、原状回復義務などを調べてみましょう。その上で、敷金の返還請求を電話や直接足を運んで交渉してもいいですし、内容証明を郵送で送る方法もあります。しかし、それでも賃貸人や管理会社が応じてくれなければ、国の機関に相談するといいでしょう。まず、無料で相談出来る機関として、自治体の相談窓口や消費生活センターがあります。自治体の相談窓口は市町村によって対応の仕方が変わってくるので、相談に行かれる前に市役所に電話をして、確認をしてから行きましょう。基本的にはアドバイスをしてくれる機関なので、相手との仲裁に入ってくれたりすることはありません。消費者センターは自治体とはまた対応が違うようです。相談内容によっては、消費生活センター側が調停や仲裁が必要だと判断した際には、消費者被害救済委員会が色々と手続きをしてくれるケースもあります。有料の機関になると、紛争解決センターという機関があります。全国の弁護士会が運営していて、裁判までには至らない紛争を処理してくれる機関なのです。一定の経験を積んでいる弁護士さんだけではなく、裁判官経験者や元検察官など、各分野の専門家達があらゆる問題を解決してくれます。問題を解決するために必要な手数料や解決した時の金額によって成立手数料などがかかるので、多少の金銭的負担は覚悟しなくてはいけません。地域によってはこの手数料を負担してくれる所もあるようなので、利用する前に一度近くの紛争解決センターに問い合わせてみるといいでしょう。


3. 敷金返還の有料のサポートを業者に頼む?

敷金返還についてトラブルになると、原状回復義務や入居する際に交わした賃貸契約のことなど、法的なことに関する問題になってしまいます。敷金返還に関する法的な問題は、一般人の私達にとって、わからないことばかりで困ってしまうこともあるでしょう。そんな時、国の相談機関の他に、有料ではありますが、問題解決をサポートしてくれる業者もいます。まずは、電話で相談をすると、現在の部屋の様子や敷金返還の際の懸念点など、細かく丁寧に話を聞いてくれるそうなんです。そして、不動産管理会社や大家さんに交渉する際のアドバイスをしてくれたり、退去時にも立ち会ってくれるんだとか。一見、便利だと思いますよね。でも、実際に利用した方の感想やネットでの評判を調べてみると、そのような業者を利用すると、かえって問題がこじれてしまうことも少なくないようです。大家さんによっては、そのような業者が話し合いに立ち入ってくることで、頑なに敷金の返還を拒否するようになってしまったりするケースもあります。さらに、最も注意が必要なのは、そういったサポート業者が敷金返還について大家さんなどと直接交渉するのは違法だということです。もし、直接交渉してしまうと、犯罪になってしまいます。契約者の代理人として、相手と直接交渉出来るのは、弁護士か認定されている司法書士だけなのです。そのため、サポート業者にできることは、退去に立会い、こんな時にどのようにすれば敷金を返還してもらえるのかなどをアドバイスすることだけです。そのアドバイスにどのくらい費用がかかるかにもよりますが、自分で本などを読んだりして勉強したり、無料で相談にのってくれる行政サービスなどを利用した方がいいかもしれませんね。また、何が何でも敷金の全額返金を求めるよりも、自分に非があれば認めて、適当なところで妥協した方が、結果的には時間もお金も節約できることも少なくないでしょう。


4. こんな時は敷金は返ってくる?

敷金を退去する時に原状に戻すための修繕費だと勘違いされている方が多いかと思いますが、実際は借主が家賃を滞納して夜逃げしてしまった時の担保を目的としているのです。以前までは、その部屋の入居者が壁紙や畳の張替え料金を支払っていたり、部屋のクリーニング代を支払っていたりしました。さらには、修繕費として敷金以上の金額を請求されることもあったものです。しかし、最近では、貸す側と借りる側の立場が少しずつ変わってきているようで、普通に暮らしてさえいれば、汚れてしまった箇所などを原状回復する義務があるだけで、借りた側が修繕費をさらに支払う必要がないというガイドラインさえあるくらいなのです。では、どのような場合には支払わなくていいのか、ここで説明しておきましょう。畳や壁紙、備え付けのカーペットなどの日焼けによる変色やある程度クリーニングで落ちそうなタバコのヤニ汚れも支払わなくていい修繕費に含まれています。逆に、自分自身で飲み食いした飲み物食べ物のシミやタバコの灰を落として床に焦げ跡がついてしまった場合は修繕費を自己負担しなくてはいけません。その他に、普通に生活していて想定されるのは、重たいダンスやベッドなどをずっと同じ位置に置いて出来てしまったへこみや置き跡です。これは、支払わなくてはいけない修繕費には含まれません。でも、イスを引きずったりして出来てしまったフローリングの傷や飼っているペットによる引っかき傷、壁などにねじや釘で穴を開けた場合は、修繕費を負担する必要があります。このようなガイドラインがあるからと言って、好き放題に暮らしていいと言う訳ではなく、部屋を借りている立場として、日常的に掃除をして大切に使う義務があることもお忘れなく。


5. 敷金返還のための民事訴訟とは?

敷金返還を求める際、やはり、一番良い方法は双方の話し合いによる解決です。でも、話がこじれてしまったりすると、内容証明郵便を送っても支払いに応じてくれないケースもあります。当事者間でそのようなケースに陥ってしまうと、民事訴訟のような法的手続きを取らざるを得なくなってしまうのです。簡易裁判所で行うことの出来る裁判は、訴訟額が140万円以下の簡単な手続きで出来る裁判です。最近、敷金返還紛争の解決手段として民事訴訟の中でも一番多い割合を占めているのが、小額訴訟になります。通常の訴訟ですと、どうしても時間とお金が結構かかってしまうのですが、この小額訴訟であれば、一般的な訴訟に比べて比較的早く処理されます。小額訴訟の特徴としては、請求金額が60万円以下に限られていること、原則として一回の訴訟で判決が下され、控訴は出来ないなどがあります。一般的に、皆さんが想像されるような法廷ではなく、個室で裁判官と当事者が話し合い、裁判が進んでいくので緊張する必要もありません。ただ、一回の訴訟で判決が下されることから、不当な敷金の請求を証明するために、事前に色々と資料を用意しておく必要があるでしょう。上記にも述べたように、敷金返還をめぐって小額訴訟を起こす場合、いくつか注意しておかなければならない点があります。敷金として支払ったのではなく、礼金や権利金などと言った名目でお金を支払ってしまった場合には、小額訴訟を起こしても返還してもらうことは出来ません。それに、賃貸契約が終了していたとしても部屋を明け渡していなければ、無効となってしまいます。賃貸料の滞納や不注意による汚れや傷はないかどうかなど、自分に非がないかをよく確認してください。以上のような点をクリアしていれば、小額訴訟を起こすことも可能でしょう。


6. 敷金返還が認められた判例の一例

「たかが敷金で」と思いがちではありますが、不当に敷金を返還されなかったり、さらには、敷金以上の金額を請求される方もいらっしゃるのです。このようなトラブルに自分自身が巻き込まれないためにも、敷金返還請求の訴訟の判例の一例を紹介したいと思います。敷金12万4000円を支払った木造建築の建物に住む夫婦共働きで、タバコも一切吸わずに生活を送っていたある夫婦の場合です。契約期間が終了したため、明け渡しを行った際、不動産会社からリフォーム代金として、12万2320円を請求されました。そのため、夫婦の手元に戻ってきた敷金は1680円。これを不当に思った夫婦が返金を求めましたが、3万円しか戻ってこなかったため、敷金の全額返金訴訟を起こしました。不動産会社は、ルームクリーニングの他に、畳の張替えやクロスの張替え代金を請求していたのです。そして、裁判所は夫婦が喫煙していないことや公共料金の未払いもなく、普通の生活を送って起こる損耗以上に悪化したという証拠が見つからなかったために、不動産会社は敷金の返還をすべきであると判断しました。敷金返還で小額訴訟を起こす場合、大体が上記のような訴訟内容になっています。退去する際に原状回復させる義務があるだけで、特別な事情がない限りは部屋を借りた側は修繕費用を払う義務などはないのです。損傷箇所の具体的な説明もせずに、修繕が必要だと不動産会社側が判断して、修繕費用を請求するケースがとても多くあるようなので、引越しをする際には注意すべきだと思います。


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