子宮筋腫についての解説です。
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子宮筋腫のうちの約九割は、子宮体部にできる体部筋腫だといわれています。そして、残りの一割は、子宮頸部にできる頸部筋腫です。体部筋腫はできた場所によって、さらに三種類の子宮筋腫に分けられています。子宮筋腫は、その種類によって、症状や治療法も変わってくるのです。まずは、しょう膜下筋腫についてご説明します。その名の通り、子宮の一番外側で全体を覆っているしょう膜という膜の下にできる筋腫のことです。この筋腫は、子宮の外へ向かって大きくなっていき、子宮から突出してしまうケースもあります。子宮筋腫の約二割が、このしょう膜下筋腫だと診断されています。子宮腔を直接圧迫しないため、他の筋腫と違って過多月経や貧血などの症状が出ないのが特徴です。症状が出ないため、気がつきにくく、筋腫が大きくなってしまうことで他の臓器を圧迫してしまい、頻尿や便秘を起こすこともあります。子宮筋腫のうち、七割と高い割合を占めているのが、筋層内筋腫です。小さい物なら大豆程度ですが、大きい物だと鶏の卵くらいの大きさにまでなります。筋層内筋腫は、小さい物だとほとんど症状が出ませんが、大きくなると月経時の経血量が増え、レバー状の血の固まりが出ることもあるでしょう。三種類の中で、最も重症だといわれている筋腫が、粘膜下筋腫です。子宮内膜に筋腫ができるため、子宮内の壁が凸凹してしまいます。そうなると、受精卵が着床しにくくなり、不妊症の原因にもなってしまうのです。筋腫の大きさが小さくても症状が重く、過多・過長月経になったり、月経時に激しい痛みを感じることもあります。
子宮筋腫は、初期の段階では全く症状が現れないことも多いです。会社の健康診断などで婦人科検診を受けたら、偶然発見されたなんてケースもよくあります。子宮筋腫の症状は、筋腫の種類やできる場所、筋腫の大きさによっても変わってきます。場合によっては、自覚症状がないまま、かなりの時間が経過してしまうことも少なくありません。子宮筋腫の最もわかりやすい症状に、月経の変化があります。月経困難症や過多月経が、その症状の代表的なケースです。ただ、子宮筋腫でなくても月経時にお腹が痛くなることはよくあるので、その痛みが一過性のものなのか、子宮筋腫によるものなのか判断が難しいかもしれません。これまでの月経に比べて、明らかに痛みが強い場合には、婦人科を受診した方がいいでしょう。また、過多月経や過長月経が起こることもあります。以前よりも月経時の経血量が増えることを過多月経、月経の期間が8日以上になることを過長月経といいます。経血量が増える、もしくは、月経の期間が長くなることで、貧血を頻繁に起こすようになることもあるでしょう。筋腫が大きくなってしまうと、周辺にある臓器を圧迫します。例えば、膀胱や大腸を圧迫すると、頻尿になったり、便秘になったりするのです。さらに、大きくなった筋腫が骨盤内にある神経を圧迫することで、腰痛が起こることもあります。子宮内膜に筋腫ができると、受精卵が着床しにくくなり、不妊症の原因にもなるでしょう。このように、子宮筋腫で起こる症状には色々ありますが、この症状が起こったからといって必ずしも子宮筋腫だとは限りません。でも、月経に異常を感じたら、早めに婦人科でその原因を検査した方がいいですね。
子宮筋腫の原因としては、様々な説があげられています。まず、一つめは、お母さんのお腹の中にいる時に、すでに筋腫の芽が作られているのではないかという説です。女性として成長していくのにつれて、卵巣から女性ホルモンが分泌されるようになり、この筋腫の芽もどんどん成長していきます。女性ホルモンが分泌される時期になると、月経も起こり始め、月経を繰り返し迎えていくうちに、筋腫の芽が子宮筋腫へとなっていくのはないかと考えられているのです。また、この月経自体が子宮筋腫の芽となってしまう細胞を作り出す原因だという説もあります。子宮の筋肉というのは、常に妊娠に向けての準備作業を行っています。しかし、妊娠せずに月経を繰り返すことによって、毎回この妊娠へ向けての準備は中断されてしまうことになるわけです。妊娠に向けての準備を中断させてしまうことによって、細胞に筋腫の芽となるような異常な細胞を作り出してしまうという説になります。この他にも、免疫力の低下が子宮筋腫の原因ではないかという説もあります。現代社会では、ストレスを感じない人はほとんどいないでしょう。最近では、女性の喫煙率も上がっていますし、不規則な生活や乱れた食生活、運動不足なども免疫力を低下させてしまう要因になっています。食品添加物や環境ホルモンなどという言葉をよく耳にするかと思いますが、これらも免疫力を低下させる要因になるのです。免疫力の低下から女性はホルモンバランスを崩してしまい、ホルモンバランスを崩してしまうことが子宮筋腫を発生させてしまう原因となるとされています。
子宮筋腫の治療法の一つとして、保存的治療があります。子宮筋腫と診断されても、緊急に手術が必要でなければ、子宮摘出は最終手段で、まずはこの保存的治療を行っていきます。子宮筋腫の状態がそれほど悪くない場合には、ピルを処方されることも多いでしょう。ピルによって子宮筋腫の症状である月経痛や月経過多を和らげながら、子宮筋腫の状態を毎回検査していきます。ただ、ピルを使っての保存的療法は、子宮筋腫の状態を緩和することはできますが、根源である卵巣や子宮に対しての治療を行っているわけではないので、あくまでも対処療法です。保存的治療としては、他にもホルモン療法があります。近年では、卵巣や子宮ととても深い関係にあるエストロゲンというホルモンが、子宮筋腫を進行させてしまうと考えられています。筋腫を進行させないためには、このエストロゲンの働きを抑制する必要があるのです。ホルモン療法でエストロゲンの働きを抑制することによって、卵巣の機能を低下させることができます。これにより、月経も止めてしまうので、出血や痛みから逃れることができ、子宮筋腫がこれ以上大きくならないようにすることも可能になってくるのです。しかし、ホルモン治療も実際には子宮筋腫自体の治療をしているわけではありません。それでも、この治療を受けた約70%の方は完治しているといわれています。残りの約30%の方は再発してしまうわけですが、再発した時には摘出手術を考える方も多いようですね。
子宮筋腫の手術方法は二つあって、子宮全摘術と子宮筋腫核出術があります。子宮筋腫が原因で、不妊や流産を繰り返してしまっている女性やこれから先、妊娠や出産を望んでいる女性には、子宮筋腫核出術を行います。筋腫核出術は、発症している筋腫部分だけを摘出する手術で、核出術にもいくつか方法があります。近年、最も一般的に行われている手術方法は、腹式子宮筋腫核出術で、これはお腹を切開して行われる手術です。どうしてもお腹を切開したくないという女性には、腹腔鏡下子宮筋腫核出術という手術方法が用いられます。これは、数箇所小さく切開し、ここから腹腔鏡と手術器具を入れて筋腫を摘出するという手術方法です。ただ、大きめのサイズの筋腫だと、小さく細かくしてから摘出するので時間がかかりますし、一定以上に大きな筋腫の場合はこの手術方法は使えません。さらに、この方法を用いている病院はまだまだ少ないといわれています。上記の方法は、小さなサイズの筋腫に用いられる方法ですが、筋腫のサイズが大きい場合は全摘術を用いることが多いです。全摘術は、複式単純子宮全摘術と膣式純子宮全摘術の二つあります。複式単純子宮全摘術は、筋腫がかなり大きく成長してしまったせいで卵巣にまで影響を及ぼしている時に行われる手術です。子宮筋腫の再発を予防するために子宮を全部取り除いてしまう手術ですから、おへその下から約10センチ程度は腹部を切開しなくてはいけません。それ対して、膣式純子宮全摘術は、簡単にいうと、お腹を切開しなくても行える全摘術です。筋腫のサイズがそれほど大きくない場合や子宮が他の臓器などと癒着していない場合に行われます。お腹を切開しない分、手術後の回復が早いという特徴があります。
子宮筋腫だと診断されたからといって、すぐに摘出術を考える必要はありません。検査をしていった結果、それほど筋腫のサイズが大きくなければ、薬物治療を行っていくことも可能です。子宮筋腫は卵巣ホルモンであるエストロゲンの働きによって、筋腫が大きくなり、様々な症状が出てきます。このホルモンの働きを抑制するために薬物が投与されるのですが、その薬物治療に使われているお薬が「GnRHアゴニスト」という薬です。この薬は、一時的にエストロゲンの分泌を抑えて、筋腫の大きさを小さくしてくれるのです。長期間投与することにより、月経が止まります。月経が止まると、子宮が小さくなりますから、一時的ではありますが、閉経した時と同じような状態になるのです。そうすることにより、筋腫のサイズも小さくなっていくのですが、半年から一年くらいはこの薬を投与しないと、筋腫のサイズが小さくならないといわれています。服用の期間が長いだけならともかく、ホルモンの動きを抑制する薬ですから、副作用が出てしまうことも少なくありません。主な副作用としては、手足の冷えや急なのぼせ、イライラなどです。薬によって閉経時と同じような状態にしているため、更年期障害で主に見られるような副作用が出てくる可能性があります。また、GnRHアゴニストでは、筋腫のサイズを小さくすることはできますが、筋腫そのものを完全に失くすことはできません。一度は筋腫のサイズを小さくできても、服用を止めてしばらくすると再発してしまうことも多いようです。