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十二指腸潰瘍の原因・症状と治療法

1. 十二指腸潰瘍の症状って?

十二指腸潰瘍の代表的な症状に腹痛があります。右上腹部や背中が痛む場合がほとんどです。十二指腸潰瘍の痛みは鈍い痛みで、みぞおち辺りを押されると痛みが増します。食事と食事の間や夜中などの空腹時に痛むことが多いと言われています。空腹時は胃酸の分泌が多くなり、その結果、自ら分泌した胃液によって粘膜や潰瘍をも消化し、痛めてしまうのです。食事中や食後は、胃の中に食べ物があるため、胃酸の濃度も薄くなり、痛みを感じることは少ないでしょう。痛みを感じた場合には、食事をとることで、一時的に痛みを緩和させることができます。他にも、背中に突き抜けるような痛みを感じたり、吐き気、食欲不振、体重減少、胃液の分泌量が多い人だと胃液が食道に逆流することで胸焼けを起こすこともあります。十二指腸は背中側にあるため、放散痛として背中や腰が痛むのも、十二指腸潰瘍の特徴の一つといえます。また、潰瘍が深いと、吐血や下血などといった症状を伴うこともあるでしょう。一時的に多く出血すると口から血を吐きますが、十二指腸潰瘍による出血は日々少しずつ出血が続いていることが多く、本人すら気づいてない場合がほとんどです。この場合、ヘモグロビンが酸化して黒くなり、便と混ざって真っ黒なタール便と呼ばれる便となることが多いと言われています。また、一時的な痛みだから大丈夫、痛みが弱いから大丈夫などということもありません。十二指腸潰瘍でも全く痛みを感じない人もいます。発症していることに気づかないまま、どんどん進行して穿孔性潰瘍となり、いきなりの強い痛みで十二指腸潰瘍に気づく人も少なくないのです。


2. 十二指腸潰瘍の原因って?

十二指腸潰瘍の患者の約9割の人が、ヘリコバクター・ピロリ菌が原因で十二指腸潰瘍になっています。ピロリ菌は口から体内に入り込み、感染すると言われており、ピロリ菌が作り出す様々な物質によって、粘膜が刺激を受けて、炎症を起こしてしまいます。ピロリ菌は酸性の強い胃液を中和するアンモニアを分泌することで、死滅することなく体内に長く留まり、胃へ悪影響を与えます。ピロリ菌に感染すると、まず慢性胃炎になります。さらに、慢性胃炎になった人のごく一部の人が、慢性胃潰瘍などになるのです。十二指腸潰瘍は、胃液と胃を保護する粘膜とのバランスが崩れたときに起こります。胃液には食べたものを消化する役割があり、その成分は胃の粘膜をも溶かしてしまうほどの力があります。胃の粘膜は胃液に消化されないように粘液を出しているため、胃液と粘膜は常にバランスがとれているのが正常な状態です。胃液と粘膜のバランスを崩してしまう原因はたくさんあります。ピロリ菌の感染以外にも、過労、睡眠不足、緊張、不安などの精神ストレスも十二指腸潰瘍の原因として挙げられます。強いストレスは、急性胃潰瘍の原因にもなりかねません。また、刺激の強い食べ物や香辛料の過剰摂取、アルコールの飲みすぎ、コーヒー、喫煙、痛み止め、ステロイドなどの強い薬の服用は胃への負担が大きくなり、十二指腸潰瘍へと繋がります。こういった原因により、胃液と粘膜のバランスが崩れてしまうことで、胃の粘膜が胃液によって消化されて傷ついてしまい、十二指腸潰瘍や胃潰瘍が起こるのです。


3. 十二指腸潰瘍の治療法とは?

十二指腸潰瘍の治療方法には、安静療法、食事療法、薬物療法、手術療法などがあります。まず、十二指腸潰瘍の原因の一つであるストレスを取り去るために、心身を安静にする安静療法。仕事を休むなど、不規則な生活をやめてゆっくり生活をすることで潰瘍の回復を助けてくれます。食事療法では、胃に負担をかける食事を避け、胃の運動や胃液の分泌を抑える食事を心掛けます。香辛料やコーヒー、炭酸飲料、高カロリーの食事は控えて、よく噛んで食事をします。逆に、胃液の中和作用が強い豆腐や白身魚、胃の粘膜を保護してくれる牛乳などがおすすめです。薬物療法では、胃液の分泌を抑えるヒスタミンブロッカーという薬や、酸分泌抑制薬であるプロトポンプ阻害薬、胃液を中和する薬、防御機能を助ける薬、精神を安定させる薬などを服用します。また、最近では、十二指腸潰瘍の原因にピロリ菌が深く関係していることから、エヌセッドという薬を服用してピロリ菌を除菌する治療も行われています。手術療法は、内視鏡などを使って止血できない出血や穿孔性潰瘍、幽門狭窄などの重症な場合に対してだけ行われるでしょう。十数年前までは、十二指腸潰瘍の治療は手術療法が一般的でしたが、胃液の分泌を抑える薬の出現により、現在はあまり行われていないのが現状です。十二指腸潰瘍のほとんどは、2〜3ヶ月の治療で治りますが、再発しやすいという特徴があります。治療を行うにしても、再発を予防するにしても、患者本人の意識がとても重要になります。日常生活や生活環境を見直して、規則正しい生活を送ることが十二指腸潰瘍の治療の近道となります。


4. 胃潰瘍と十二指腸潰瘍とは違うの?

胃潰瘍と十二指腸潰瘍は、総称して消化器性潰瘍と呼ばれており、胃にできた潰瘍を胃潰瘍、十二指腸にできた潰瘍を十二指腸潰瘍といい、主に潰瘍ができる場所によって区別されています。胃潰瘍は胃角部付近に、十二指腸潰瘍は十二指腸球部にできやすいでしょう。胃の中は強力な酸である胃酸と消化酵素によって、常に酸性に保たれていることで、食べた食品が溶けて柔らかくなり、入ってきた細菌も殺菌されます。胃酸は強い酸性ですが、通常は胃の表面にある胃粘膜が粘液やアルカリ性の物質を出して胃酸から胃を守っています。胃潰瘍と十二指腸潰瘍の症状はほぼ同じで、胃や十二指腸潰瘍の壁を溶かして傷を作って痛みが発生する病気で、悪化すると穴が開いてしまうのです。胃潰瘍はピロリ菌の感染や非ステロイド性抗炎症薬、ストレスの影響により、胃の粘膜の防御機能が弱まることで潰瘍ができます。十二指腸潰瘍の場合は、ピロリ菌の感染や胃酸の分泌量が多くなり、胃酸による攻撃からの抵抗力が弱い十二指腸の粘膜を傷つけることで起こります。症状の違いとしては、痛みを伴う時間帯です。胃潰瘍の場合には食後に腹痛があり、十二指腸潰瘍の場合は食事と食事の間の空腹時や夜間に腹痛が起こるでしょう。また、できやすい年代にも違いがあり、胃潰瘍は40代〜50代、十二指腸潰瘍は20代〜40代となっています。もともと日本人は胃潰瘍にはかかりやすいものの、十二指腸潰瘍の患者はあまり見られませんでした。でも、食生活の欧米化により、若い世代にも十二指腸潰瘍を発症する方が増えているようです。


5. 十二指腸潰瘍の検査方法って?

十二指腸潰瘍の検査は、柔らかいチューブを使って行う内視鏡検査や、消化管の輪郭を写し出すX線検査が主な検査方法です。一般的には、内視鏡検査を最初に行うことが多いでしょう。いわゆる胃カメラによる検査です。内視鏡検査では、直径1cmほどで先端にレンズのついたファイバースコープを口や鼻から挿入し、胃の中を観察しながら写真を撮影することができます。のどに麻酔を施し、マウスピースで固定して挿入していきます。モニターで胃や十二指腸潰瘍の状態を確認する検査で、通常の場合には10分くらいで終わるはずです。ただ、症状によっては、胃や粘膜の組織を少し取って調べることがあるので、もう少し時間が掛かることもあるでしょう。内視鏡検査では、潰瘍の有無だけでなく、発見された潰瘍が、悪化しているのか、治りかけなのか、過去の傷跡なのかなど、潰瘍の進行状況も診断することが可能です。X線検査は、バリウムと発泡剤を飲み、食道から胃や十二指腸潰瘍を検査します。発泡剤には胃を膨らませて観察しやすくする役割があります。バリウムはレンドゲンでは白く写り、胃の内壁にくっつくことで、胃の輪郭を知ることができるのです。十二指腸潰瘍によって輪郭に凹みがあると、その凹みにバリウムが溜まって白く写るので、どこに潰瘍があるのかをはっきりと確認することができます。この検査も10分くらいで終わるでしょう。他にも、ピロリ菌に感染している可能性がある場合には、ピロリ菌の検査を行います。ピロリ菌の検査には、内視鏡検査の時に胃の粘膜を採取して調べる方法と、血液や尿、息の中の物質から調べる方法の二種類あります。ピロリ菌に感染している場合には、体内に抗体が作られています。その抗体の有無を血液や尿を用いて測定することで、ピロリ菌の感染状況を調べることが可能になるのです。


6. 十二指腸潰瘍は胃がんになる可能性がある?

十二指腸潰瘍そのものが胃がんに変化することは基本的にはないと考えられています。十二指腸潰瘍の患者さんは胃ガンにならないとされ、潰瘍と胃ガンは全く別のものとして捉えられているのです。ただ、潰瘍と早期胃がんは似た形をしている場合もあるので注意が必要でしょう。実際に、十二指腸潰瘍の内視鏡検査において、傷痕として残っている部分の細胞を摂取して調べたところ、がん細胞が認められたという事例もあります。十二指腸潰瘍と診断されても、油断はできませんね。X線検査だけでなく、内視鏡検査を受けて、胃がんでないことをしっかりと確認しておくと安心でしょう。また、十二指腸潰瘍も胃がんもピロリ菌が原因で起こることが明らかになっています。ピロリ菌は胃を荒らし、慢性胃炎を引き起こします。その結果、胃の粘膜が弱くなり、十二指腸潰瘍へと繋がっていくのです。十二指腸潰瘍の患者さんのうち、約9割の人がピロリ菌に感染していたというデータもあります。それに、慢性胃炎や潰瘍の繰り返しによって、常に胃が荒れている状態が続くと、傷の修復のために細胞が変化しやすい状態になってしまいます。細胞が変化し、遺伝子に傷がついてしまうことで、胃ガンになりやすくなってしまうでしょう。潰瘍が胃ガンになることは基本的にないといわれていますが、潰瘍のある人の胃の中にはピロリ菌が存在する場合がほとんどです。ピロリ菌感染が胃がんの原因としても挙げられるため、将来的に胃ガンになりやすい胃であると言えます。しっかりとピロリ菌除去のための治療を受けて、潰瘍を繰り返さないようにすることが大切です。


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